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前会長のご挨拶をアーカイブしています
2013
会長就任のご挨拶
川合厚子
ケムケム いやいや!
きれいな空気でおもてなし
受動喫煙ゼロの山形県をめざして
このたび、会長に就任しました川合厚子です。
山形県喫煙問題研究会は2000年に立ち上がりました。
初代会長は元山形大学医学部麻酔科教授の一柳邦夫先生、2代目会長は同歯科口腔外科教授の吉澤信夫教授、そして現高橋邦汎名誉事務長の尽力によりNPO法人となった2009年から大竹修一顧問が2期4年会長を務めました。
この間、地域での禁煙を推進する一方、3つの全国大会
・2002 第19回全国禁煙教育研修会
・2012 世界禁煙デー山形フォーラム
(第12回全国禁煙推進研究会)
・第22回日本禁煙推進医師歯科医師連盟総会・学術総会
を主催・共催してきました。
表題の“ケムケム いやいや!きれいな空気でおもてなし 受動喫煙ゼロの山形県をめざして”は、2012世界禁煙デー山形フォーラムの時のテーマです。
引き続き、喫煙防止教育、禁煙支援・治療、受動喫煙防止を3本柱に、会員の皆様と一緒に、関係諸氏のお力添えをいただきながら『きれいな空気の山形県をめざして』活動していきたいと思います。
私もタバコの真実を知る以前はそんなに周囲への働きかけは行っていませんでした。
しかし、呼吸器疾患の患者さんの治療をしていると禁煙は必至です。タバコの煙は口腔から気管、気管支を通って肺にいたり、この部分の臓器を直接にも傷害します。肺癌やCOPD(慢性閉塞性肺疾患、当時は肺気腫、慢性気管支炎といっていました)などタバコ病の患者さんにタバコを止めるようにお話するのですが、このような病気になってもタバコを止められない方がたくさんいました。
喫煙はニコチン依存症という病気で、中々やめることができません。当時は治療薬もなく治療を教えてくれる人もなく、禁煙できるのは病気が進行して吸えなくなってからという悲惨な状態を数多くみてきました。そんなにやめられないタバコなら、初めから吸わなければいいんじゃないかと、子供たちに喫煙防止教育を始めました。中学生では遅い、小学生から、と地域のすべての小学校で喫煙防止教育をやりました。2000年に山形県喫煙問題研究会ができ、大竹顧問が誰でも使える喫煙防止教育CDを作成してくれたおかげです。パソコンすら使えなかった私でも簡単に使えて、シナリオ付の喫煙防止教育CDを自分でも提供できるようになりました。
1回喫煙防止教育をしただけでも子供たちはとてもよくわかってくれます。
家族に喫煙者がいる子供は家族の健康が心配で家に帰ると「タバコを吸わないで」と話すのですが、周囲の大人の方が『喫煙がニコチン依存症という病気で、自分や周囲の人に多大な害を及ぼす』という具体的な情報が足りないために、子供たちの優しい気持ちに追いつかなくなってしまいます。
そこで大人への啓発も必要と、研修会や講演、イベントなどに参加、自分たちでも行うようになりました。タバコの真実を知れば知るほど黙ってはいられない、喫煙者もタバコの真実を知らずに吸い始めてやめられなくなってしまった被害者、非喫煙者の認識も高めて受動喫煙を防がなくてはという思いが強くなりました。
自分ではタバコを吸わないのに人のタバコの煙を吸わされてしまうことをセカンドハンドスモーク(いわゆる受動喫煙)といいます。海外ではさらにサードハンドスモークが問題になっています。サードハンドスモークというのはその場にタバコの煙がなくとも、タバコの煙がしみ込んだ洋服や壁紙などからタバコの有害物質が空中に発散され、タバコの健康被害を受けることで、これも受動喫煙です。
『タバコ臭い』と思った時にはすでに環境基準の100倍の致死的汚染状況にあります。目や鼻がつらいというときは環境基準の1000倍の致死的汚染状況にあるとも言われます。
日本では毎年6800人以上の方が心筋梗塞やCOPDといった受動喫煙被害で亡くなっています。まだぴんとこないかもしれません。少し別の視点からみてみましょう。
北京での大気汚染が問題となり、PM2.5(空気に含まれる直径が千分の2.5ミリ未満の微小粒子)が話題になりました。北京でのPM2.5は100-700㎍/㎥でした。実はPM2.5がこれ以上になる場所が日本にはたくさんあるのです。
アメリカ環境保護庁の慢性曝露の場合の健康影響分類表によると、PM2.5は15㎍/㎥以下が「良好」、40までが「許容範囲内」、40~65が「弱者に危険」、66~150が「全員に危険」、250までが「全員に極めて危険」、251以上が「全員に重い症状」となっています。
現在の日本の屋外は、大半が「許容範囲内」レベルで70以上になると、「不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動を出来るだけ減らす」よう環境省から警告が出ます。
一方、車の中で喫煙したらどうでしょうか。1人では1000、2人ではPM2.5は1600㎍/㎥にもなります。また、多くの未成年者と中高年者が働く完全禁煙ではないサービス業店内のPM2.5は150-700㎍/㎥で「大いに危険」から「緊急事態」レベルにあります。
日本で一番恐るべきPM2.5はタバコなのです。受動喫煙はPM2.5の塊です。この事実があまり知られていません。知らないがために車の中で喫煙しその車に子供を乗せたり、完全禁煙でない飲食店に子供連れで入ったりしていることが推定されます。
このようなことを防ぐために、私たちは『きれいな空気を子供たちに』を合言葉に活動しています。医師・歯科医師・薬剤師・看護師・保健師・養護教諭・教諭といった医療・教育関係者だけではなく、行政や一般市民にも会員がいて、それぞれの立場で活躍しているのがNPO法人山形県喫煙問題研究会のいいところと思います。
特に行政や山形県医師会・同歯科医師会・同薬剤師会・同看護協会など各医療団体との連携は強く、山形県が全国に先駆けて他職種連携で禁煙推進に取り組んできたことは特筆すべきことです。
なお、私は精神障害者の禁煙支援にも取り組んでおります。
精神障害者は一般の方以上に喫煙問題についての情報が届きにくく、禁煙は困難と思われてきました。でも、きちんと情報を伝えると精神障害者も禁煙したいし禁煙できるのです。
そして精神障害者こそ禁煙なのです。もう少し詳しく知りたい方は[精神障害者、禁煙、川合厚子]で検索してご覧ください。
また、タバコをやめたくない方を含め、禁煙困難な方の治療はどのようにしたらいいか模索しているうちに動機づけ面接法に出会いました。
タバコの問題だけではなく、他の依存症や生活習慣病、司法の場でも応用ができ、その効果に驚きました。全国の講演会やワークショップに出かけ、まだまだ学習中でありますが、山形でも勉強ができたらと、この会の中に動機づけ面接法研修会を立ち上げる予定でいます。一緒に学ぶ仲間を募集しています。
『子育てするなら山形県』、県民が安心して生活でき、子育てもできる、『受動喫煙ゼロの山形県』をめざしてまいりましょう!会員、禁煙サポーター、大募集です。
社会医療法人公徳会トータルへルスクリニック院長
999-2221 山形県南陽市椚塚1180-5
【禁煙関係】
日本禁煙学会評議員、日本禁煙学会専門指導医
日本禁煙推進医師歯科医師連盟運営委員
禁煙e-learningプログラム開発会議
(Japan Smoking Cessation Training Outreach Project、J-STOP)メンバー
禁煙治療ガイドライン作成ワーキングメンバー
NPO法人山形県喫煙問題研究会会長
山形県医師会禁煙推進委員会副委員長、山形県禁煙推進4師会委員
南陽市東置賜郡医師会禁煙推進委員会委員長
Massachusetts 医科大学Tobacco Treatment Specialist (Master)
禁煙心理学研究会世話人
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